リアル囚人体験も?博物館 網走監獄で知る北海道開拓の歴史

明治時代、旧網走刑務所にあった建造物が移築復原、再現建設された博物館 網走監獄。「北海道開拓と監獄受刑者」をテーマとした野外歴史博物館として、北海道の人気観光スポットのひとつとなっています。

有名な網走監獄の正門は通称「赤レンガ門」と呼ばれ、再現されたものです。
近づくまで、本当の人が立っていると思っていたのでびっくり(笑)

監獄というと怖いイメージがありますが、網走監獄ではこのように随所に配置された人形たちがリアルかつユニークに当時の様子を伝えてくれます。楽しみながら北海道の歴史を感じることができる博物館なのです。

明治・大正期の貴重な行刑建築に触れる

網走監獄には、国の重要文化財に指定されている貴重な建造物が8棟もあります。正門を通り抜け、まずは重要文化財のひとつでもある庁舎に行ってみましょう。

重要文化財に指定されている庁舎(移築復原)。刑務所管理部門の主軸となる建物だった。

こちらでは、網走監獄の始まりや、各集治監の囚人たちによって道内の道路が開削された歴史が展示紹介されています。

明治時代、政府はロシアの南下政策に備えるため北海道開拓を急務としていました。明治政府の誕生にあたり各地で反乱がおきると、その政治犯や思想犯は労働力として北海道の集治監(監獄)に収監されたのです。

網走監獄最大の見どころ!五翼放射状平屋舎房

放射状に広がる5棟の舎房の中央に、全体を見渡せるよう設置された見張所。重要文化財に指定されている。

最大の見どころは、この五翼放射状平屋舎房
5本の翼を広げたような形から名付けられ、木造行刑建築物としては世界最古で最大規模を誇ります。木材の伐採から建築まで、受刑者が行ったのだとか。
房数は226房、最大収容者数は1200人。房の外観がキリギリスの虫かごに似ていたため、受刑者は『ギス監』と呼んでいました。

脱獄王と呼ばれた白鳥由栄が収容されていた第24房。他の部屋と違い、床は硬い材質のヤチダモ材で二重張りに強化されている。

北海道開拓の歴史と受刑者たちの暮らしを知る

凄すぎる脱獄王たちの逸話、五寸釘寅吉&白鳥由栄

重警備刑務所として知られる網走刑務所には、2人の脱獄王の伝説が残っています。
高い身体能力と仲間の協力により6回も脱獄した、明治の脱獄王・五寸釘寅吉。そして、奇抜な発想と緻密な計画で4回も脱獄した、昭和の脱獄王・白鳥由栄です。

明治の脱獄王・五寸釘寅吉こと西村寅吉

五寸釘を踏み抜きながら12キロを逃げ切ったことから『五寸釘寅吉』と異名がついた西村寅吉。看守に隠れて和紙とご飯粒で合い鍵を作ったり、その並外れた身体能力と囚人仲間の協力により6度も脱獄
しかし、仲間たちからの信頼が厚かったようで、最終的には網走監獄の表門を清掃する“晒掃夫”という最も信頼のある囚人が用いられる役を任せられていたのだそう。

昭和の脱獄王・白鳥由栄

昭和の脱獄王・白鳥由栄。
人気漫画『ゴールデンカムイ』に登場するキャラクター・白石由竹のモデルにもなっている。

白鳥由栄は、先ほど写真で紹介した第24房に収容されていました。2重ボルトで固く止められた網走監獄の鉄格子のネジに味噌汁をかけて塩分で腐食させ破壊し、狭い視察孔から潜り抜けたそうです。実際見れば分かりますが、よくここから出られたなと感心します…。白鳥は漫画『ゴールデンカムイ』に登場する、愛され脱獄囚・白石由竹のモデルにもなっています。

囚人たちの暮らしぶりを体験できる『監獄歴史館』

囚人たちが普段どのように過ごしていたのか気になった方は、敷地内にある監獄歴史館に行ってみましょう。ここでは囚人たちの生活が分かる当時の貴重な資料が多数展示されています。

体験コーナーで囚人の気分を味わおう

①編み笠をかぶってみよう!

囚人たちが刑務所の外を歩く際にかぶっていた編み笠を着用できます。顔が隠れるのでSNSにも載せやすいですね。

②鉄丸をつけて歩いてみよう!

囚人たちが足にはめられていた鉄丸。実際につけたらどれくらい重いのか…体験してみたいような、してみたくないような…

③もっこを担いでみよう!

森を切り拓いて中央道路を開削する際、土砂や石などを運び出すときに使われたもっこ担ぎ。極寒の北海道の森にいるつもりで、その辛さを感じてみましょう…。

ライトな感じで紹介してしまいましたが、ここは網走監獄です。冒頭でも紹介した通り、囚人たちは開拓のため重い労働を強いられていました。網走と旭川を結ぶ、220キロもの中央道路をつくるために、1000人以上の囚人たちが駆り出されたのです。監獄体験シアターでは、多くの犠牲を出した苦難の歴史を今に伝えています。網走監獄を訪れたら、ぜひご覧ください。

このほかにも、施設内では囚人たちの生活が人形によってリアルに再現されています。

別名「動く監獄」おちおち寝ていられない休泊所

リアルすぎて怖い休泊所。

受刑者たちをやぐらから監視する「高見張り」

受刑者が逃走などしないように「高見張り」というやぐら監視所がある。

囚人たちのつかの間の楽しみ、入浴タイム

囚人たちが入浴している様子を再現した浴場。安心してください。見えませんよ(多分)

浴場では、看守とともに囚人たちの入浴を監視できます。入浴時間はわずか15分程度でしたが、囚人にとっては数少ない楽しみのひとつだったようです。

受刑者たちを更生に導く教晦堂

移設復元された教誨堂は重要文化財に指定されている。

“教誨”とは、僧侶や牧師といった宗教者が刑務所を訪れ、犯罪ですさんだ受刑者を更生へと導くこと。戦前までは正面に阿弥陀如来像を備えた仏壇があったようです。

網走監獄ならではのグルメ“監獄食”を食すべし

写真はほっけ定食。監獄食なので地味ではありますが、ぜひお試しください。

観光といえばグルメも気になるところですよね。監獄食堂の名物といえばやっぱり『監獄食』!
さんまとほっけの2種類の定食があり、受刑者が食べているメニューを再現しています。網走監獄に来たら食べずには帰れません。

お土産に買いたい監獄グッズ

併設のお土産屋さんでは、あまり入手できない監獄グッズが豊富に取り揃えられています。おすすめは、やはり定番のTシャツ!胸元のクールなロゴと、背面にデカデカと書かれた「脱獄囚」の文字がポイントです。
『ゴールデンカムイ』作者の野田サトル先生も購入されたほか、B’zの稲葉さんもライブで着用したと聞き、筆者も即購入しました。

漫画『ゴールデンカムイ』聖地巡礼にもおすすめ

近年では、明治末期の北海道を舞台にした人気漫画『ゴールデンカムイ』(作:野田サトル)の聖地巡礼スポットとしても注目されています。作品では、網走監獄の囚人たちが発端となり埋蔵金を巡る競争を繰り広げており、施設の様子も度々描かれています。

庁舎では野田サトル先生によるイラストも展示。
“金カム”ファンなら要チェック!

網走監獄で明治期の北海道の歴史を知ることで、作品もより楽しめるのでおすすめです。

貴重な建築物に触れられるのはもちろん、ユニークな監獄体験ができるとして人気の博物館 網走監獄。年中無休なので、囚人たちの気分を体験するなら、あえて冬に訪れてみてもいいかもしれません。北海道の歴史を、いつもと違う視点から学んでみてください。

博物館 網走監獄

住所:北海道網走市字呼人1-1
営業時間:年中無休、時期により開館時間が異なるため、公式サイトをご確認ください。

https://www.kangoku.jp/basic_information.html

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